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当時は「一夫一妻制」といいながら、実態は、男性にだけ不特定の女性との非公式な性交渉を持つことが許される「一夫一妻多妾制」の社会だった。そのため、この時期、女性はそれ以前よりも、より過酷な状況に置かれることとなった。つまり、1人の男性と性愛関係を持つにしても、それが「妻」であるか、「妾」であるか、で雲泥の違いが生じる時代が到来したのである。当然、女性たちの間で、正式な「妻」の座をめぐる対立が表面化することになる。この時期の代表的な文学作品である『源氏物語』も『蜻蛉日記』もみな、男の愛を独占できない女たちの悲しみが主題のひとつになっている。(清水克行『室町は今日もハードボイルド』/新潮文庫)

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