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ドラマ10大奥 感想 

「現実を単にリアリズムで描写することで本当らしさを出すだけではなく、虚構の虚構性を一ランク上げることで、逆に現実に回帰する」

社会学者・大澤真幸の言葉をこれほど痛感する作品を私はほかに知りません。
男女逆転によりジェンダー差別を際立たせ、科学の進んだ今でさえも感染症には太刀打ちできず、記録文書は黒塗り・廃棄される。
SF時代劇が現代を生きる私たちの生活に突き刺さるという、ある種の矛盾を感じるような名作。

さらに実写化により女性が将軍を演じるという、一生で1度の機会を得た役者陣の会心の演技にも魅せられました。

4Kを活かした美しいセット、衣装、調度品の数々。お願いだから1回御鈴廊下歩かせて……

全21話に収めるために大奥とは直接関係のない表の出来事は極力削ぎ落とした100m走のように筋肉質な脚本は、毎話終わるたびに「ふーっ」と息をつく、呼吸を忘れるほど集中して見る作品でした。

悲しいことしか起こらないとわかっているのに毎週放送が待ち遠しい地獄の作品。
私の人生のなかでも1,2を争うほどのドラマでした。

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