夕暮れに無くしたはずのため息が手帳の隅でみつかりました
一年で一番長い夜だからはじまりのない詩を書いている
妖精が夜更けに舞い降りたような白い秩序を踏みつける朝
午前五時半の始発。普段見ることのない景色。闇に包まれた街へ向かう電車は高揚感も陰鬱な空気もなく、ただ不釣り合いに明るい。そのから放り出されると午前六時の札幌駅。夜と朝が入り混じったひとの流れにぼくは溺れることさえできなかった。
オリオンのほかに星座を知らなくて名もない電車が通過しました
待つことが辛いのになぜ待つことを受け入れるのか骨が震える
こどもの頃、家にマザーグースのうたのレコードがあった。歌っていたのはキャロライン洋子さんだったと記憶している。訳詞は谷川俊太郎さんのものによるもので、歌と歌の間に谷川さんの読があった。ぼくが詩というものをはじめて意識した瞬間だった。その体験があったから、今でも谷川さんと言えばマザーダースを思い出す。訃報に触れて再び読んでみたいと思った。
ぼくにとってのマザーグースといえばOld King Cole、それとRide a cock-horce to Banbury Cross,たしかこの二曲は収録されていたと思う。
#散文
詩と散文。ここでは短詩をメインに書いていく予定です。