だいぶ前から手をつけていた『ギリシャSF傑作選 ノヴァ・ヘラス』も読み終えました。ギリシャは独特な土地で、おそらく古典ギリシャ語のほうが現代ギリシャ語よりも読めるひとが多いという奇妙な言語/歴史状況にありますよね。いくつかの作品では実際にそういう歴史的重層性が扱われていて、しかもそれが観光を通じた世界的な階級性だったり、移民問題を通じたアイデンティティの問題だったりといった問題系と響きあっています。とにかく多くの作品を通じてさまざまな形で階級の話がされているという印象で、どれも面白かったです(と言っていいのか……)。
短編集ですし、元となった企画の性格を考えれば当然というべきですが、SF的な設定は基本的には舞台装置としての役割が主で、それ自体を深めるタイプの関心は薄そうですね。多くの作品がなんらかの喪失をSF的に組み込んでいるのが印象的で、これもおそらく上で書いたようなことと関係するのでしょう。

ところで、訳者の方々個別の紹介文のようなものはないのでしょうか。本の中に見当たらなかったのですが、欲しかったです。

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「アンドロイド娼婦は涙を流せない」のナタリア・テオドリドゥさんはゲーム(インタラクティブフィクション)も作っていると紹介文にありました。作者の方のHPにまとまっていますね。 natalia-theodoridou.com/games- Choice of Games から出ている An Odyssey: Echoes of War は "A queer, feminist, interactive retelling of The Odyssey" とのことで、気になります。(ストアページ:store.steampowered.com/app/119

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