三津田信三『凶鳥の如き忌むもの』は、ホラーミステリーの刀城言耶シリーズ二作目。
前作よりもホラー要素が少なくミステリ色が強めで、あまり怖がらずに読めて個人的に助かった!
不気味だったのは、漁村で恐れられている鳥女(とりめ)という化け物の存在かな!
主人公は怪奇幻想作家で、怪異譚の蒐集家。怪異を求めて各地に出没し、その度に恐ろしい事件に巻き込まれたりしている……らしい。
今回、孤島で執り行われる怪しげな儀式に対しても、そこで起きる人間消失に対しても、主人公は恐怖に取り込まれずにあくまで現実的に論理的に解明していこうとする姿勢が安心できる。
郷土史や民俗学の立場からも興味深い話が聞けてワクワクさせられるところが好み。
自分の推理を披露するだけ披露して、特に解決には導かないお決まりのターンで思わずニヤッとしてしまった。ちょっととぼけた良いキャラクターですよね。
いわくつきの18年ぶりの儀式に一体どんな意味が込められているか、その中心人物である代々の巫女たちの覚悟や決意、町の人々の信心、言い伝えや古事記の記述など、面白い点が沢山あった。
怖さは少なめだけれど予想以上にずっしりと重みのある話で、余韻の残るラストが良い。