アルベール・カミュ『異邦人』(窪田啓作 訳)読了。
これまで読んでいなかったことを後悔した!読んでいない名作の多さにもどかしい思いがします。
この作品はあらすじの印象と、実際読んでみたときの印象がかなり違っていた。
"母の死の翌日海水浴に行き、女と関係を結び、映画をみて笑いころげ、友人の女出入りに関係して人を殺害し、動機について「太陽のせい」と答える。"と読むと、非常識で倫理観の欠如した、ひどく恐ろしい人物のように映る。
その点を覚悟して読み始めたけれど、主人公ムルソーは、私にはそこまで世間からかけ離れているようには思えなかった。周囲の人とそれなりに関わり合い、凶暴というわけでもなく、特に薄情とも思わない。
一貫性の無さはもともと人間が持っている性質なんじゃないかと思うのだ。彼はそれを人前で繕わなかっただけ。
とはいえもちろん罪は裁かれるべきである。
意味の理解できない、自分と違うものに対する恐れはあると思うけれど、人々の強い処罰感情の矛先が彼の罪ではなく、性質や性格に向かうところが何とも言えない憤りに繋がった。
刑を言い渡されてからの彼の語りには凄まじいものがあり、一読しただけでは把握しきれない興味深い世界。
@ShinKaonio
誰もが認めるような言動をしないと排除されるんだ〜と思ったんですね。でもすごく面白かった!
主人公側にちょっと共感しちゃったのかもしれません