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恒川光太郎『雷の季節の終わりに』読了。
異世界を舞台にしたファンタジーを読むのは久々で、前半は設定を頭に入れるのが第一!という感じだったけれど、読後は「いいもの読んだなぁ」という気持ちになった。同時に切なくもある。

地図に載っていない土地、"隠”に暮らす少年が主人公で、そこには四季のほかに神の季節がある。
歴史は数千年前からというその地域は余所者を拒んで閉鎖的に生活していて、表面的には平和ではあるのかもしれないけれど輝かしい未来はないと思った。異端者に対する態度を見てもそれが窺えて、その残酷さは現実にも通じるものがある。

異世界の話であっても暮らしているのはやっぱり人だから、見ていてどこかに共感したり憤ったりするのは同じ。
すぐ隣にこういう場所があってもおかしくないような気がしてくる。

少年少女の姿から、いつかは大人にならなきゃいけない、自ら選んで歩んで行かなくてはならない、という成長を感じさせる部分もあった。覚悟を決めてたくましくなっていくのは人が通る道でもあり、好きにならずにはいられない。
その先には誰にも真似できない自分の人生が待っていて、良くも悪くもきっと実感は強く得られると思うし、後悔がないはずだ。

kadokawa.co.jp/product/2009020

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