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江戸時代、堅実一筋で糸問屋を経営してきた六代目が、息子に跡を託して悠々自適の隠居生活を目論むけれども、真面目すぎて趣味も道楽もなく…そうこうするうち無邪気すぎる孫の善意の言動に振り回され…というお話。

堅物で遊びのない、傍目には面白みもない人物像に思われる6代目が、孫を通じて、大店経営者の時には触れることもなかった市井の貧しい子どもたちやその家族と触れ合う少しずつ心をほぐし、経営者としての知恵や人脈も使いながら、まさに地域コミュニティの一員となっていく様子が、微笑ましくて、痛快な読み応えでした。人生百年時代、セカンドライフのことも考えて生きねばならない私たちとしても、なんだか身につまされるというか、羨ましいというか。そんな気分で読了しました。

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