ページを開くと、付箋の根元に「デビューした」と深津の字で書いてある。それを見た瞬間に深津に通話をかけると、今までずっとつながらなかったのが嘘みたいに「もしもし」と声がする。
「お前……! なんだこれエッセイ!? え、小説!?」
「リアクションいいピョン。やっぱり最初に送って正解ピョン」
「何普通に話してんだよ今まで何回電話したと思ってんだ。え、引退して小説書いてたってことか?」
「引退してから書いたらこの賞に間に合ってないピョン。賞取った後の編集との連絡とかで色々気疲れしたピョン。いくつかインタビューの日程と、エッセイの連載決まって、少し休んだら自慢したくなったピョン」
「お前……本当ふざけんなよ」
「のたれ死んだとでも思ったピョン?」
「タイミングがあんだろがよ……」
「まあそれは悪かったピョン。泣くなピョン。俺は別に泣かないから」
「泣いてねえわ!」
「バスケ引退して、やりたいことまだまだあるピョン。とりあえず近所の店開拓したら7㎏太ったから、今度のオフにストバス付き合えピョン」
「絶対その後おごれよ」
「勝敗次第ピョン」
「誰が負けるか!」