金川宏『アステリズム』(書肆侃侃房)を著者よりお送りいただきました。橋本さんのポストで知り、帯の〝猫の骨が透けてみえるようなひかりで組み立ててみる午後からのこと〟に惹かれて気になっていたのですが、幻視的な光景がうかぶ歌が次から次へと現れてやはりすごく好みでした。
見たこともない日々を啄む老婆まっさおな魚が落ちてくる村外れ
遡行する縫合線の果て昏く眼窩になだれ落つる大瀑布
いつからだろうしんとしていて台形の背鰭が浮かびあがる夜の部屋
屈葬の九月こじあけられてよりわが生国に黄金の雨降る
山尾悠子作品や『ニューロマンサー』のオマージュと思しき歌もいくつかあり。