『最後の三角形 ジェフリー・フォード短篇傑作選』(谷垣暁美 編訳 東京創元社)、ミステリー寄り、ホラー寄り、SF寄り――でも間違いなくジェフリー・フォードな幻想短編が14編収録されていて、2冊分くらいの読み応えがあり堪能しました。噂に聞いていた「アイスクリーム帝国」がともかく素晴らしい。共感覚からこういう話を思いつけるとは。親しくなった隣人からあるものを託される「マルシュージアンのゾンビ」にもびっくりした。
他にも、海の死者、陸の死者、エミリー・ディキンスンの前に死神が現れる話、本棚に現れる小人たち、町中で密かに進められる魔術的陰謀、死苺の酒に酔っ払う人を収穫する名誉職、謎の連続殺人事件、瓶詰世界を増殖させるマッドサイエンティストもの、昆虫惑星の奇妙な取引――あと、誰もが砂浜に作る砂の城が波に呑まれる間だけ存在できる妖精の話とか、よく思いつくなぁと。
『言葉人形』に続いて装幀は柳川貴代さん、装画は浅野信二さん。今回も目に気持ちいい。
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