キモ井注意※スパダリなどいない※見ないが吉
K校生。根暗でクラス中から虐められてる赤井。彼の視界はいつもモノクロで、どんよりしている。目に映る人々の顔は真っ黒で、悪魔みたいひ笑った恐ろしい目と口だけが見える。ある日、転入してきた零くんが赤井が虐められてることを知り、庇ってくれるし味方してくれる。俺に優しくしてくれたのは君が初めてだ…と言うと「僕が赤井の初めての友達だね」と、はにかむ零。その瞬間、赤井の見ていた世界は一気に色鮮やかなものになる。相変わらず人々は悪魔みたいに見えるけど、零だけはキラキラ輝いているし、まるで天使のように見える。自分の世界に零が現れて以来、初めて幸せという気持ちを知った。零が庇ってくれるうちに徐々に虐められることもなくなった。朝は待ち合わせて一緒に登校して、帰りも二人で下校する。連絡先も交換して、毎日LINEするようになった。もはや零がいない人生は考えられなくなっていた。零と知り合ってから初めての冬休み、一緒に旅行に行こうと思い、赤井は宿を取った。零には事後報告だったが、もちろん一緒に来てくれるに違いないと確信していた。
零に「冬休みは旅行に行こうよ」と連絡すると、「行きたいけど遠方の親戚の家に行くから、ごめんね。代わりに今度の連休に行こう」と返事が来た。赤井は「え?」と固まった。
キモ井注意※スパダリなどいない※見ないが吉
『学校についたけど、赤井まだ来てないの?』『終業式も居なかったけどどこにいるの?大丈夫?』。赤井は、心配してくれているのかと嬉しくなった。「体調悪くて保健室にいたよ」と連絡したら、『今から保健室に向かうね』と返信が来た。思わず口角が上がるのを感じた。零は俺と仲直りがしたいんだ、と思った。保健室に来てくれた零と一緒に下校することになった。「旅行いけなくて残念だなー」と零が言った。赤井は「今回は仕方ないけど…」と言って、それから「今度からはもう少し早く言うよ。だって先約の方を守らなきゃいけないもんな」と言った。零は「うん」と優しく笑って答えた。赤井は零の優しくて明るいこの笑顔が大好きだった。
キモ井注意※スパダリなどいない※見ないが吉
「どうして?」と返事をすると、零から「え、だから…親戚の家に行くからだよ、遠方だから連泊になるし」と返事が来る。当たり前の返事だが、赤井は納得できない。「親戚の家なんて行かなければいい」と連絡する赤井の手は怒りに震えていた。翌日、冬休みに入る終業式の日。いつも待ち合わせている場所に零がいないのでLINEを送ると「少し寝坊しちゃったから先に行ってて」と返事がきた。「嘘だ、本当は俺と登校するのが嫌なんだ」と思った。昨日のやり取りで気まずくなったから俺を避けているんだ、と思った。嫌われたのかと思うと気が気ではなかった。電話をかけたら、「急いでるから後でね」と言われて切られてしまった。嫌われたに違いないと思うと、世界はまたどんよりと曇った灰色に変わってしまった。肩を落として一人で登校すると、悪魔たちがくだらない話で盛り上がって煩くしている。雑音にしか聞こえないそれがやけに大きく聞こえて、あまりに煩くてついには頭が痛くなり、始業ベルが鳴るより前に保健室に向かった。そのまま、終業式には出なかった。終業式終わったわよ、と保険医に言われてベッドからのろのろと降りてスマホを見ると、零から何通かLINEが来ていた。