「五(ご)」や「九(く)」は「九が」などの東京アクセントは、古く「日が(出る)」「胃が(いたい)」と同じアクセントであったと言われます。これは古いアクセント辞典を見れば明らかなことです。いま学生達と三省堂『新明解日本語アクセント辞典』の「アクセント習得法則」を読んでいますが、「九が」などという文脈はどんなだっただろうねと疑問に思ったりしていました。
それで、習得法則をお書きの秋永一枝氏『東京弁は生きていた』を弟子でありながら初めて開いてみました。これは明治期生まれの東京人へのインタビュー集で、いわゆる江戸の言葉が活写されている本です。そこに、地震占いのような民間伝承が載っていて、「九は病、五七は雨に四つ日照り、六つ八つならば風と知るべし」とあります。いわゆる不定時法で、九つなら深夜12時というやつですね。このフレーズのなかに、古い江戸のアクセントが残っているというわけです。(1/3)