今更ながら読みました、岩朗均『七夕の国』。画像は4巻からです。90年代の中盤から市場を揶揄するようなメッセージを入れていたとは。思えば『寄生獣』もそうだったかもしれない。映画のほうは見ていないが、民俗学を使ったよい物語でした。
七夕に纏わる東北の祭りという筋立てで思い出すのは、やはりねぶた祭です。江戸期の絵には「七夕」とはっきり書いてあるので、あれは七夕祭りだったのですね。ねぶたの方は市場原理のなかで新しい観光コンテンツとして生き延びた、と言えるかも知れません。
『七夕の国』のほうは…ネタバレになるからこれ以上は言えませんが。
宮崎駿が近代的な文明批判をするのと違って、岩朗均が市場原理を批判するのは、30年後を見据えてのことだったのでしょうか。何だか気持ちが良いです。作中、「役に立つ」ってどういうことかが繰り返し問われます。主人公は「役に立つ」というのが幻想だと喝破して、自分なりの人生を選びます。2020年代の現在に映画化されることに意味がありそうに思うのでした。