柳田国男『蝸牛考』(1930)を読んでいたら、サザエの壺焼きの「ツボ」は「ツブ貝」の「ツブ」と同語源であるという説を見て、興味深いと思った次第。確かに「円谷(つぶらや)」「つぶらな瞳」、「つぶつぶ」は丸いという意味を共有していて、それが丸い巻き貝である「ツブ貝」の語源と結びついているのはそれなりに納得のいく説ではある。
柳田は、「三浦三崎などでは栄螺をツボッカヒと謂ひ、又ツボ焼きといふ複合形に至つては、現に我々の標準語でさへもあるのである。」と述べている。
越谷吾山『物類称呼』(1775)でも、相州に「つぼっかい」という語形があるという。
日本国語大辞典によれば、貝類、特にサザエを殻のまま焼いて味付けしたものが壺焼きなのであって、サザエに限定しないようだが、近畿圏の方言研究者に聞いてみると、ツブ貝を焼いて食べるものは壺焼きって言うことがあるよということだった。やはり「つぶ」が「つぼ」と通じているのかもしれない。
なんかこの手の語源説は危ないことは危ない。調理の仕方が問われる案件です。