地名というのは、支配者が権力で変えてしまうことが往々にしてあるわけですが、表記がハブになって、違う音が生まれる事例として台湾でよく知られるのは、「高雄」です。
この地名は1895年から始まる日本時代以前は、文字を持たない原住民によるtakao的な音声を、後の漢族が聞き取って漢字で記した「打狗」としていました。
しかしこの「イヌを打つ」とでも理解される字面がよろしくないと考えた日本政府は「高雄」という表記を与えた。1945年の光復を経て、国民党はこの漢字を中国としての発音「GaoXiong」と呼んだ。かくして地名の発音が変わってしまった。
というエピソードは授業で時々話題にするのですが、実際に文字にされた「打狗」を見るのは初めてです。