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森部豊『唐—東ユーラシアの大帝国』読了。この本で学んだことは何なのかというと、長安が国際的なメトロポリスだったとはいえ、所詮漢人の国だったんでしょ、という思い込みをすっかり変えてくれたことかな。そもそも唐を打ち立てた李淵からしてソグド人コミュニティと密接な関連があるとか、血縁あるとか。全く疎いので、これがどれほどの定説かは分かりません。

日本語史と関わりがあるところ、つまり朝鮮半島を巡る動乱との距離感だとか、渤海だとか、長恨歌に描かれる玄宗皇帝のくだり、空海・最澄、円仁のあたりは楽しく読めた。知ってるところは楽しく読めるんだから、「知ってる話が出てきて嬉しかったです」という学生のコメントは今後もやっぱりバカにできません。

遣唐使として訪れた日本人も、唐という国の国際性は存分に感じたことでしょう。円仁『入唐求法巡礼行記』にもそう思わせるくだりがいくらかあった。

で、ただの感想としては、長い。史学の書き方がこうなのだと思うが、時系列に事実を丁寧に記していく教科書的な書き方は新書ではちょっと辛いなというのが正直なところ。やはり新書の読みどころは、新しい価値観なり世界観を示すところにあって、そのへんがmake senseということになるのではないか。もっとも、読む者の知的関心やレベルにもよるのでしょうが。

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