で、「げんち」はどうか。確かに僕の直観としても、幼児っぽい、規範的でない発音のように感じます。ひとつには漢語音としてのプロトタイプ的発音は2拍+2拍であって、第2拍に「ん」を含む場合であっても、「あんしん」「かんかつ」が大多数なわけですが、それを外れているということ。さらにいうと3拍語で第2拍に「ん」を含む卑語等が多いことによるのではないか。比較的公的な場で書きやすいやつでいうと「うんこ」「うんち」などが典型例でしょうかね。
3拍漢語では「現地」「半途」「頑固」など特殊な印象を持つことはないが、和語的なものではぐっと卑語的な印象が増える。言質は漢語として異例の読み(文字通りでは「げんしち」)だから、漢語の意識が弱く、和語のカテゴリで認知してしまうので、結果、卑語の響きが出るんじゃないかと思います。(2/3)