遊び言葉の地域差なんかも最近の学生達には人気があるので、演習で「グーとパーでチームを分けるときのかけ声」の地域的変異を調べてもらったチームがあるんですが、本題とは別のところで「グーとパー」「グーとチョキ」はあるのに、「パーとチョキ」の組み合わせは一つもなかったと。

なぜなのか?という考察がちょっと面白くって、2つの仮説を出してきた。1つはグーのほうが生得性が高いからではないかと。そんな発達段階があるか研究を見たわけではないけど、子どもは最初にグーを覚えて、最後にチョキを覚えるのではないかという仮説でした。言語学的に考えると、グーは無標的(フツー)、チョキは有標的(特殊)であるから、グーは必ず含まれるというもの。

もう1つは、視認性の高さが関連するのではないか、と。大勢で手を出し合ったときに、グーとそうではないものは見分けが付きやすいが、チョキとパーは区別が付きにくいと。これも2種類の区別を、一方が無標的、もう一方が有標的であることで効率的に識別できているのだとしたら、という話だからそれなりの理屈にはなっている。

ふーん。そうかもね、という話でした。


1960-70年代の福岡県(北九州市、福岡市周辺)では、二分する際には、
「♪うーらかおーもーて」でした。
形状はパーのみですね。
福岡の他にも、兵庫県でも掌の表裏による二分はあったと思います。

これの淵源はどこまで遡れるんでしょうね。子ども達が二手に分かれて遊ぶなんてのは、近代に限定されるものでもないような気がします。如何にも学校方言のようには見えますが。

kotobakai.seesaa.net/article/8

かつて『言語生活』で、子どもの遊びのことばについてのプロジェクトがあったのですが、国語研に、資料が残っていたりしないですかね。

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「分布から歴史へ」というあたりが参考になりそうですね。国語研に有象無象のものが眠っていて、そのなかにお宝が…という筋はあるかもしれませんね。

しかしプロジェクトがあったとは。秋永先生がこの手のことを演習で扱って下さったのは、1995年頃でした(授業では初めてだったと聞いた記憶が)。比較的古くから関心が持たれていたのですね。

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