アンナ・カヴァンの読書感想があったので、ツイッター(X)に書いたのをいろいろ発掘したのを投稿します。邦訳分はすべて読んだけど、感想書いてないのもあります…。) 

「愛の渇き」読了。
作者の分身ともいえるガーダを中心に繰り広げられる物語。満たされない『愛の渇き』に剥き出しの心臓を鷲掴みにされているような苦しさを覚えつつも、読まずにはいられない…。読者も共依存に陥るような恐ろしいほどの孤独を共感してしまう作品でした。

「われはラザロ」読了。
狂っているのは、世界か、それとも…。登場するほぼ全ての人々の心に戦争が影を落とす…。おなじみの不条理な物語もあるけれど境界線に閉じ込められ恐怖を拒絶する虚無と喪失を抱えた登場人物たちに愛おしさを感じるカヴァンの中では異色の短編集。

「あなたは誰?」読了。
熱帯の気候と寒々とした夫婦生活の描写に息が詰まり、抱えた虚無に希望は吸い込まれて孤独に慄く作者の内面をさらけ出した自画像である主人公に同調するのも憚られるのに引き込まれ読んでしまう作品。中盤ある"趣向"に驚き。自伝小説でも作風は変わらぬ良作。

続きます。

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アンナ・カヴァンの読書感想続きです。 

「ジュリアとバズーカ」読了。
孤独の断片。不安の断片。寂しさと一体となった息苦しいまでの強迫観念に支配された物語。どの作品も現実と遊離した幻想的な雰囲気に覆われているものの、現実と遊離しながらも現実に近づこうと、もがく作者の寂しさを読者は共有し、虜になることでしょう…。

どれも傑作で甲乙つけがたいですが、ランキングをつけると、氷>愛の渇き>アサイラムピース>ジュリアとバズーカ

以下良作になります。
鷲の巣>あなたは誰?>チェンジ・ザ・ネーム>草地は緑に輝いて

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