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マリー・ルイーゼ・カシュニッツ
「その昔、N市では」読了。
始終不穏さ漂う日常に、するりと怪奇幻想入り込み、エアポケットに嵌まるかのごとく宙ぶらりんな結末に行き場のない感情が癖になる、異色作家短編集の一冊でも通用しそうな寄る辺なき人々の人生の一場面切り取った短編集。今年ベスト本の一冊!

焦燥感募る中突如断ち切られる
「船の話」
SF風味な表題作、
主題が重い「ルピナス」
途中までハイスミス、レンデル彷彿させラストに別の意味で足掬われる「長距離電話」
善意が仇となるも当人は気付かず幸福なまま終わる
「いいですよ、わたしの天使」辺りがお気に入り。
「四月」は勘違い女の痛い話で少し辛い…。
アンソロジーで既読の「幽霊」もまた新たな翻訳で新鮮な気持ちで読めたので良かった。

不穏な作風を予見させる装丁の絵もすごく良い!
全96編の短編があるというので、ぜひとも第2弾を出してほしい。

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