『女性差別はどう作られてきたか』性別二元論的で気になる記述
「女性差別」をテーマとする上で慎重であってほしい部分なんだけど、かなり素朴に“生物学的”性別二元論な記述があってちとつらい。
筆者本人ではなく引用する研究者の言葉もあるんだけど「生物として女性「である」という事実は現に存在し、その事実によって差別が生じる」、「性(「セックス」)を持たない人間は存在しないので」、「人類のふたつの肉体」などなど。ちょっとウッとなってしまった。
二元論が当たり前だった歴史を概観する本だからしかたないのかもしれないけど、だいぶ雑だし、せめてひとことシスでない人に関して記述がほしかったな、それがあるだけでずいぶん違うのにな……。
これの前に読んだ松沢裕作『生きづらい明治時代』とはずいぶん印象が違う。
どっちが本当かという話ではないと思うんだけれど、『女性差別は〜』はちょっとした言葉遣いとかから、女性差別について書くのにこの書き方は……と思うことが多くてなんか読んでてイライラした。なんだろうなこれ。西洋がひどいのはじゅうぶんわかったけど日本はマシだと主張されてるようでなんかそこを比較するのは違うのでは……と思った。マシだとする根拠もなんか違和感あるし。