駅前の入り組んだ路地にある、昭和54(1979)年から営業している小さな喫茶店。
印象は「草に覆われた民家」というか、ある程度のところまで近付かないと、本当にただの草叢にしか見えない。
昔は内側にうすい緑のカーテンがかかっていたはずで、でも、先日行ったら取り外されていた。とても綺麗な緑色のカーテンだった。
大昔にどこかの霊園の隅で見つけた、小さな雨蛙にそっくりな……。

最近、窓際に座っているとかなりの頻度で、遠くの方よりカエルの鳴き声が聞こえてくる。この喫茶店にいた時も。
私はそのケロコロいう軽やかな響きから小さな雨蛙を想像していたのに、いいやそんな可愛いやつじゃないよ、怖い方のカエルだよ、とある日他人に言われてから、頭に思い描く姿もなんだかおどろおどろしく怖いものになってしまった。
怖い方のカエルとは一体どれなのか、よく分からない。

見えないのに鳴き声だけが聞こえる存在、というと怪異のようで、でも身近によくある現象で、音がするなら本体もどこかに存在しているのだろうと反射的に考えている。
「実体がない、鳴き声だけのカエル」も、ひょっとしたらいるかもしれないのに。

#日記 #回想

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