駅前の入り組んだ路地にある、昭和54(1979)年から営業している小さな喫茶店。
印象は「草に覆われた民家」というか、ある程度のところまで近付かないと、本当にただの草叢にしか見えない。
昔は内側にうすい緑のカーテンがかかっていたはずで、でも、先日行ったら取り外されていた。とても綺麗な緑色のカーテンだった。
大昔にどこかの霊園の隅で見つけた、小さな雨蛙にそっくりな……。

最近、窓際に座っているとかなりの頻度で、遠くの方よりカエルの鳴き声が聞こえてくる。この喫茶店にいた時も。
私はそのケロコロいう軽やかな響きから小さな雨蛙を想像していたのに、いいやそんな可愛いやつじゃないよ、怖い方のカエルだよ、とある日他人に言われてから、頭に思い描く姿もなんだかおどろおどろしく怖いものになってしまった。
怖い方のカエルとは一体どれなのか、よく分からない。

見えないのに鳴き声だけが聞こえる存在、というと怪異のようで、でも身近によくある現象で、音がするなら本体もどこかに存在しているのだろうと反射的に考えている。
「実体がない、鳴き声だけのカエル」も、ひょっとしたらいるかもしれないのに。

#日記 #回想

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5月頃に訪れて
「前にあった緑のカーテンがない」
と呟いていた喫茶店、バウハウス。
よこはま動物園ズーラシアへのバスが出ているJR中山駅の、南口にある。

先週足を運んだらカーテンが復活していたので、もしかしたら洗濯したり乾かしたりする期間だったのかな、と想像した。
改めて見てみるとやはり格別な趣があり、うっすら草木に囲まれている喫茶店だから、内部からも木立を連想させる仕掛けがあると小人の小屋みたいでわくわくする。

カーテンの素材の感じと緑の色が、店内の椅子に張られた布のなめらかな赤と呼応しているから、まるでカーテンが自分の「役割」に自覚的であるようにも思える。
赤い木の実や赤い靴を隠す、森の役割を担っているのだと。

食べたのはねぎトーストだった。
視覚的にも強い印象を残す分厚い食パンの表面が焼かれ、3等分に切れ込みが入れられて、バスケットの中に横たわる。騎士に何度も両断されて倒れた布団のようなその佇まい。茶色い耳の部分は薄い層がいくつも重なったようになっていて、香ばしい香りがわずかな隙間にも蓄えられている気がする。
たっぷりのチーズに散らされた青いねぎの風味は強すぎず、じっくり噛んでいてとても安心できた。

chinorandom.com/entry/2023/12/


QT: mstdn.jp/@hirose_chino/1103962
[参照]

千野  
駅前の入り組んだ路地にある、昭和54(1979)年から営業している小さな喫茶店。 印象は「草に覆われた民家」というか、ある程度のところまで近付かないと、本当にただの草叢にしか見えない。 昔は内側にうすい緑のカーテンがかかっていたはずで、でも、先日行ったら取り外されていた。とても綺麗な緑色のカー...
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