#小説に登場する食べ物

・オリーブの実(種あり)
・ニンニクを羊肉で巻いた串焼き
・トレーの上のドライフルーツ

P・A・マキリップ「オドの魔法学校(Od Magic)」より #マキリップ作品

絶版の日本語訳は手に入らなかったので、原著の方を電子書籍で読んだ。
タイトルからも分かるようにF・ボーム「オズの魔法使い」のオマージュがそこかしこに見られるのも楽しい。

とりわけ、ヌミス王国の都ケリオールに存在する区画のひとつ、トワイライト・クォーター(Twilight Quarter, 原島文世氏の訳だと「歓楽街《黄昏区》」となっている)の描かれ方が最高に魅力的!

地平線の向こうに太陽が沈んでから通りに灯りが点って、さっきまでいなかった人達が路地を闊歩する。
不意に商店の扉が開いたら営業開始の合図で。

複雑な香辛料の香り、また出来立てのパンや、火で焼かれる肉やら玉ねぎやらの匂いがふわふわと漂ってきたり、音楽が聞こえてきたり……。
《黄昏区》に足を踏み入れたら最後、目や耳や鼻がいくつあっても足りないだろう。

#読書 #マストドン読書部
chinorandom.com/entry/2023/08/

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創元推理文庫『オドの魔法学校』
P・A・マキリップ 原島文世訳

引っ越し前のアカウントで、作中に登場するいくつかの食べ物だけ紹介していた小説。
原文(Od Magic)から日本語版の方に切り替えて再読した。

両親を病で失い、弟や恋人にも去られてしまって、孤独を背負う青年ブレンダン。

故郷であるヌミス王国北方の辺境で、植物や動物などの声を聴き暮らしていた彼は、ある日〈オド〉と名乗る女巨人に魔法の才を見出され都のケリオールへと赴く。
庭師の仕事がある、と言われて。
なかなか都の暮らしに慣れない彼は、ある日、学校の庭で不思議なものを見つけた……。

そこから、かつて大志を抱いていたが擦り切れてしまっている教師、望まぬ婚約に揺れる姫君、旅の魔術師の娘、そして書類仕事よりも街を歩くのが好きな地区官吏監……と次々に視点が移りかわり、最後に未来を示唆して物語が収束する。

群像劇というのだろうか、こういう形式。好きな人にはとてもおすすめ。
未知の魔法や知識を恐れて徹底した王の管理下に置き、権力側が決めたことしかできないような教育を学校で生徒に施している、ヌミス王国の現状。それがもたらした歪みや学校設立理念とのずれ、また皆の思惑が、深刻になりすぎない筆致で軽やかに描かれている。

[参照]

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