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>日経新聞のコラム「春秋」

この森村誠一さん追悼のコラム(7/26)、代表作『悪魔の飽食』の代わりに『黒い墜落機(ファントム)』を挙げています。

『黒い墜落機(ファントム)』は、
「百里基地から飛び立った自衛隊の戦闘機(模擬核兵器を搭載)が山奥の寒村に墜落。その事実を隠蔽するため、全国の自衛隊精鋭が集められ、村民抹殺が図られる」
という筋の、自衛隊に対する批判がじかに書き込まれたサスペンス小説です。
登場人物のなかには「反戦自衛官・野崎」という人物もいて、これは実在の反戦自衛官・小西誠氏をモデルにしていることがはっきり分かるよう、書かれています。

日経コラムはこの小説の中身には一切触れず、作者あとがきの「強大な権力や組織に対して無力な市民はゴマメの歯ぎしりもできない」。「だが「蟷螂の斧が痛烈な一矢を報いるのが小説の特権」」という箇所を引用しています。

「蟷螂の斧が痛烈な一矢を報いる」相手は、森村氏がこの本のなかで批判する自衛隊や日米安保を指すはずですが、
「作家生活は50年超。この間、日本の組織から不条理や理不尽は減ったろうか」という一般論にすり替えて締めています。

このように当たり障りない一般論で大事なことを隠そうとする「態度」こそが、森村氏が長年闘っていた相手だったのではないでしょうか。

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