中之条ビエンナーレ2023、四万地区に行ってきました。
廃校の床に点々と散らばるアルファベット。あきらかにNAKANOJO BIENNALEをバラしたもの。アートイベントの一部にちがいないと跡を追い……真相に気づいて愕然と。
『鋼鉄紅女』の訳者あとがきでもっとはっきり書いておくべきだったかなと思っているのは、原著がヤングアダルトのジャンルで出版されていることです(奥付のところにPENGUIN TEENとあります。TUNDRAというYAレーベルの版もあり)。冒頭で(性的)暴力、自殺、虐待、アルコール依存症にからむ描写について注意書きがあるのは、そのためです。
著者も言っているように初稿は完全18禁の内容だったようですね。編集者に見せた段階で、YAとして商業出版するなら描写の抑制が必要になることを言われたはずです。著者は極力描写を削ったようですが、それでもストーリーは過激成分多めなので、冒頭の注意書きがついたのでしょう。
にもかかわらず、ラストを(ネタバレになるので伏せ字にしますが)〇〇皆殺しで決着させたことには驚きました。最近のアメリカのYAジャンルがどういう感じなのかよく知っているわけではないのですが、ジェンダー多様性などはともかく家族観については年若い読者の健全育成のために保守的なはずだと思っていたので、主人公の葛藤をこのように着地させることに編集者がよくOKを出したなと。アメリカのYAも変わりつつあるのか。まあ、武則天の史実どおりだと著者が言い張ったのではないかと想像しますが。
スペオペ翻訳業者。Xから移籍してもはやこちらが本垢です。
(ヘッダー画像は緒賀岳志画伯の『最終人類』カバーイラストからお借りしています)
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