一度だけ、なかにし礼さんに取材をさせていただいたことがある。ちょうど「赤い月」を出された時だった。「私たち子供を生きて日本に連れて帰る。そのためには自分自身が生きなくてはいけない。母の恋は自分を生かす炎を燃やすためのものだったと思うのです」と、もう二十年も前のことだから正確には思い出せないのだけど、あの穏やかな笑顔で語ってくださった。
そんな風に自分の母親の恋を語れる卓越した眼と客観性、強さ、そして壮絶なほどの優しさに鳥肌が立ったことを今も覚えている。
素敵な方でした。

amiさん @ami.yoshieohkubo は学生の頃からの友人で、ぬいぐるみや人形を作る作家だ。彼女の生み出すものはどれも長く愛されて大切にされてきたもののように見える。実際には出来立てホヤホヤの新作だったとしても。

amiさんが結婚したとき義両親は既に鬼籍に入られていた。お義母様は洋裁や手芸の大好きな人だったといい、結婚して暮らし始めた家にはたくさんの素材や作品が遺されていた。刺繍糸、布、毛糸…彼女はそれを捨てることなく、自分の作品に取り込み新しい命を与えた。もう二十年は経つだろうか、今も遺されたものはamiさんの手で大切に扱われている。
「この刺繍の額はお義母さんの作品なの。きれいだから持ってきて飾りました。初めての母との共演。」
人は皆いつかは去るけれど、美しい奇跡は必ずあって、その痕跡を拾い集めて次へと繋げてくれる誰かがいるのかもしれない。この世では出会うことのなかった二人の女の人の指先から生まれた美しいものがふたつ、十一月の光の中に並んでいた。

amiさんの展示は11月25日まで。
三鷹 Janus Creation @janus_creation

は、このタイミングで「青」「赤」と書くと別な意味が生まれてしまうことに今気づいた。そうゆうんぢゃないです。

そうか、63年前の今日はあの小さなライカ犬がひとりで宇宙に旅立たされた日なんだ。

すやまはるみさんの絵が届きました。「私の屋根」。今まで住んできた家、働いた会社、いろんな屋根にこっそり登ってひとりで見た空、街。大切にしよう。

「少女たちは何度でも悪い夢の中にダイブする」

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