今こそ需要ありそうな『破墓』チャン・ジェヨン監督インタビューの概要 独立運動編
風水師のサンドクが、掘り起こした地面にコインを投げる場面がある。そこで投じられるのは英雄イ・スンシンが刻まれた100ウォン硬貨だ。
本作が韓国(朝鮮半島)の歴史的な痛みを込めた作品だけに、ファンたちが深読みして「さすが!」と称賛した。が、実はシナリオ上では10ウォン硬貨だったのを、地面と色が似ているため見分けやすい100ウォン硬貨に現場で変更したのだそう(笑)
しかし、このような深読みをされるも当然で、本作には様々な設定や場面に独立運動の歴史が隠されている。こうしたメッセージを読み取り共有する楽しさも本作のヒットに大きく貢献した。
例えば主人公たちが乗る車のナンバープレートは0301(三・一独立運動)、1945、0815(1945年8月15日 植民地支配からの解放)である。
また、主人公4人を始め、"なにか"と闘うキャラクターの名前はいずれも実在の独立運動家の名前から来ている。
監督が数十年ぶりに独立記念館を訪れる機会があり、ひとつひとつ展示を見ながら嗚咽したのだそう。独立のために陰で闘った人たちの中に自分たち韓国人も知らない方が本当に多いんだなと実感し、その気持ちのままシナリオを書いたため作品内に自然と抗日要素が溶け込んだ。
今こそ需要ありそうな『破墓』チャン・ジェヨン監督インタビューの概要 なぜ監督はオカルト映画を撮るのか?編
自分でも何故こういう題材が好きなのかよく考えます。幽霊を見たことはないし。でも、一方で霊魂があればいいなと思うんです。人が死んで、ただ土に返って終わりというのはなんだか残念で。
今は数字と科学が支配する世界で、そういったものも勿論重要だけど、目に見えない価値があまりにも疎かにされていると感じる。だから自分はオカルト分野に没頭してしまうのだと思う。
死んだらそれで終わりというのは、あまりに悲しくないですか?
霊魂があって、亡くなったおばあちゃんが自分を見守ってくれていたらいいなと思います。
私が25歳の時に祖母が亡くなり、急いでソウルから戻って葬儀をしました。するとトイレのコップに祖母の入れ歯があったんです。私はこっそりティッシュに包んで持っていました。そしたら、久しぶりに会った親戚の中に巫堂がいて「あんたお祖母さんの入れ歯を持ってるね。お祖母さんがくれと言ってるよ。」と言われ、焼いてもらいました。ええ、パミョの最初に出てくる少年は、僕の話なんですよ。
ファリムのお祖母ちゃんみたいに、僕の祖母が横にいてくれたらと思います。実際そうだったら怖いだろうけど。