ニール・ブロムカンプの映画において、人間の肉体はいつもやっかいな存在だ。
肉体は常に精神を邪魔する不快な存在として登場し、エイリアンに浸食されて刻々と異形の姿へ変容していったり(第九地区)、生きるために神経を機会に接続するハメになったり(エジリウム)、身体に閉じ込められてしまったり(デモニック)する。
一方『チャッピー』では肉体を捨てて機械に精神を宿すことが究極のハッピーエンドとして描かれている。肉体は自分を閉じ込める檻だという身体感が明確に表れている監督だと思う。
彼の作品は全体としてクィアな感じはしないけど、この"体に振り回される"感じは結構トランス的だなと感じる。