『ボリウッド映画を超えて インドの女性監督たち』に関連して覚書

インド映画は上映時間短縮のために楽曲を削って日本公開される場合も多く、『バーフバリ』もマウリが酒屋さんを演じるセクシーダンスのシーンは完全盤のみ収録。なので、日本に住んでて認識できる以上にアイテムナンバーはインドのエンタメ映画に欠かせないものなんだと思う。日本で言ったら時代劇にチャンバラが必須とか、たぶんそういうレベル。
もちろん映画業界の体質的な問題、慣習化している差別的な表現は見直されてほしい。一方で"映画だけが変わる"ことは不可能だろうとも思っている。
インドの場合、まず映画自体が男同士か家族、カップルで見に行くもの、あるいは家のテレビで家族そろって見るもので、女性がメインのお客さんとして想定されていない。もちろん日本だって女性がお客さんとして扱われない傾向はあるけど、女性の経済状況や、出歩くことに親や夫の許可が必要みたいな状況を考えるとちょっと比じゃないかなと。

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女性だけで見に行けないのは社会全体の様々な女性差別の結果だから、実は社会がものすごく根本的に変わらない限り、映画界にも大きな変化は起こらないのかも知れない。
また、Netflixで配信されてる自伝的ゲイ映画『コバルトブルー』には、海外のクィアな作品を見たくても映画は家族一緒に見るものだから無理だったという描写が出てくる。マイノリティが独自に映画文化を作っていくこと自体が難しい状況なのだと思う。

ただ、配信サービスの広がりによって個人が好きな映画を一人で見る環境が広がり、また外国映画を見る機会も急速に増えた。コロナがこれに拍車をかけ、若い世代が既存の国内映画に満足できなくなっているのはとても大きいだろうし、こういう現状が良いほうに影響してほしいなと思う。

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