関係成立後、ハンが前にも増して身体を鍛えている。そんなにムキムキにしてどうするんだ？とは思うが、「上手いか？」「上手いよ。お前も食えば？」「ああ、そのうちにな」''そのうちに''なんて悠長なことを、後30分もすれば空になるのに、と今日も喉を鳴らしながらプロテインを飲むハンを尻目にルスはピザを齧り、続けてアイスの箱を開けた。
その一カ月後のこと。「なあ、そろそろ俺も喰いたいんだが？」一回りほど太くなった腕で抱え上げられ、揺さぶられて、文字通り首に歯を立てられたところで、ようやく彼の目的を知ったルスは翌朝、ベッドで「ばか、かよ」と掠れた声を漏らしたという。
「なんだよ、よくなかったか？」「よかったよ、よすぎた。けどさ、こんなことのために、きたえるか？」「鍛えるさ、お前を抱くためだから」「もし俺がもっと肥えたらどうするんだよ」「それに合わせるが？」きっとそんなお前もかわいい、そう朝食を手に清々しく笑うハンにやっぱりばかだとルスは耳の裏を赤くした。