夏休み読書。高楼方子『時計坂の家』、読んだ。児童文学とジュブナイル文学のあいだにあるような作品だけど、人物の描き方や作品の芯は大人向けではないかと思った。家族と町の歴史が絡んだミステリー仕立ても巧妙。挿絵もよい。名作。

物語の舞台となる町「汀館」のモデルを読みながら推理するのも楽しかった。最後まで明かされないのだけど、作者の出身地を見てやっぱりねとなる。

作品内の描写から1970〜80年代前半くらいの空気感を感じていたので、1992年出版と読了後に知り意外な感じがした。作者がいつごろを思い描いて書いたのか知りたいな。

あと映像化されていないのが不思議なほど作品世界がジブリっぽくもある。読みながら『思い出のマーニー』のあれこれのシーンを重ね合わせていた。

挿絵を描いた千葉史子さんも作者と同じ出身地らしく、親しい間柄なのかなと思っていたが、実姉らしい。すごい姉妹。

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きのう「1970〜80年代前半くらいの空気感」と書いたけども、作者が「昭和四十二年の夏の、むんむんするような蠱惑的な世界を出現させようと」したと付録の小冊子に書いていた! やっぱりなあ。1967年、作者は12歳。

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