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ディーシャ・フィルヨー『チャーチ・レディの秘密の生活』(押野素子訳/勁草書房)をさっそく買ってきて読み終えました。短編集です。性的な話が多いのですが、露悪的ではなく、写実的で真摯でした。ハッピーな話もあります。
著者は1971年生まれ、米国フロリダ州出身の作家でこの第一作品集で一躍有名になりました。
ちなみに9編中3編がウーマセクシュアル(※女性に性愛感情を抱く女性)が主役の話ですが、トーンはそれぞれ異なります:敬虔な長年の親友と性的関係を結びつつ、彼女が女性同士はノーカウントだと思っていて結婚を夢見る様子に傷付けられ続ける話。故郷を捨てて寒い土地で暮らす女性2人の家庭で、片方が暖かい故郷や女手ひとつで育ててくれた敬虔な母を恋しく思う話。掃除中に孫の日記を読んで内容に仰天する祖母(牧師の妻に欲望を抱き、ろくでもない男に惚れてしまう親友におそらく性愛か恋愛感情を抱いている)
keisoshobo.co.jp/book/b655295.

収録作品に共通するテーマのひとつは明らかに「いい子(※キリスト教的に)」で、主人公の女性が女性の家族や友人との相容れなさ、摩擦、亀裂を感じる話が多いです。ただし著者はクィアネスや母娘関係をぜんぜん意識して書かなかったそうです。自分や友人にあることをありのままに書いたという感じみたい。
リンク先のインタビューでは、下記の他に、バイセクシュアルの友人とバイが不可視だという話をした件も語られています。
「クィアとの自覚をついぞ持たなかった側の人間として『私に書く資格があるか?』と自答しました(“but as someone who’s never identified as queer, I thought, ‘Do I have permission?’)”」
「私は男と2回結婚しましたが、それ以外の経験もある場合、自分のことをなんと呼べばいいですかね?(“I’ve been married to men twice, but what do I get to call myself if I’ve had other experiences?”)」
apogeejournal.org/2020/08/18/s

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