本の雑誌2025年2月号No.500(2025年1月8日)発売号の海外文学時評欄に寄稿しております。2回目/任期24回です。
今回取り上げたのは下記です。
ジェスミン・ウォード『降りていこう』(石川由美子訳、青木耕平解説/作品社)
クレア・キーガン『ほんのささやかなこと』(鴻巣友季子訳/早川書房)
メレディス・ルッソ『理想の彼女だったなら』(佐々木楓訳/書肆侃侃房)
ケリー・リンク『白猫、黒犬』(金子ゆき子役/集英社)
レベッカ・ブラウン『天国ではなく、どこかよそで』(柴田元幸訳/twililight)
あと、大橋由香子『翻訳する女たち』(エトセトラブックス)に少し言及しています。
https://www.webdoku.jp/honshi/2025/2-241225155700.html
ウォード『降りていこう』の結末に言及
※ちょっと誤記をなおしました。
編集部の内容紹介では“橋本輝幸はジェスミン・ウォードが描く奴隷制下の女性の過酷な生にたじたじ。”と書かれていますが、『降りていこう』のラストはハッピーエンドです。
主人公を奴隷として買った農園の女あるじどころか、嵐の精霊や、電撃的に出会った男の保護や愛すらも手放して、ひとりで生きていきます。
また、主人公は性加害を免れていますし、直接的な加害描写はありません。
ただし彼女は元主人が保有する奴隷の子で、“白人の主人が女奴隷に手を出す”ことがいかにありふれていたかは作中で何度も描かれます。
https://www.webdoku.jp/honshi/2025/2-241225155700.html