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河野哲也『アフリカ哲学全史』(ちくま新書, 2024.7)とても面白かった。人物列伝っぽい書き方で過去の達成や限界、スタンスを紹介している。
そしてアフリカ系の思想家が人種主義や民族主義を擁護し強化してしまった例や、日本が南アフリカ共和国とそのアパルトヘイトを看過した歴史にも言及されています。
序文から少し引用します。

“短かったが刺激的な留学の間に、筆者は、アフリカ人たちの西洋批判を思い出さずには、もはや西洋近代の古典を読むことができなくなった。それゆえ、帰国した筆者は、日本の哲学の 現状には強烈な違和感を覚えた。西洋哲学の暗部が、あたかも存在しないかのように研究され ていたからである。”(p.18)

“これまで西洋批判は、日本においてはしばしばナショナリズムと結びついてきた。西洋中心 主義に対する批判があっても、それは、日本あるいは東アジアの伝統への回帰といった反動に 陥り、自文化中心主義をかえって強めてしまうことがある。
そこで、筆者が提案するのが「知の三点測量」である。西洋の近代化に対してアフリカがど のように解釈しどのように向かい合ってきたかを知ることによって、同じく西洋の近代化に対 して日本や東アジアがとってきた解釈や対応を相対化して理解できるであろう。”(p.20)

丁寧に説明されているので、世界史や思想を全然知らない読者でも体系的な知識を得られると思いました。

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