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『ミステリマガジン』2024年5月号のSF書評欄で、波木銅『ニュー・サバービア』(太田出版)を紹介しました。
hayakawa-online.co.jp/shopdeta
デビュー作の『万事快調〈オール・グリーンズ〉』が女子高生3人組の話で、本作も学生時代のトリオ関係の回想が重要です。ただし本作に出てくるトリオは、しばしば体格や装いで男性に見間違われる女性、出生時に男性と割り当てられていた女性と思われる人、ジェンダーを特定できる要素が本書から徹頭徹尾排除されている人から成ります。
なお、書評で少し書いたのですが、あまり謎や登場人物の掘り下げがなされず終わるため、読者が没入しきれない・娯楽作品への期待を裏切られるところがあります。破綻は著者も承知の上だろうと思います。
刑事やら、直接登場しないその母親のホラー作家の老婆やら、妙な女性が他にもどんどん出てきます。だからこそその個人の内面や、関係性が描かれないのが惜しく感じてしまいました。

多少破綻していても書きたいものを書いている感じがするのが、この著者の良いところですね。

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