青崎有吾『地雷グリコ』(KADOKAWA)は高校生たちが独自の変則ルールを導入したメジャーな遊戯(じゃんけん、だるまさんがころんだ、ポーカー、百人一首等々)で勝負をつける連作短編集で、互いに裏をかきあい、反則スレスレを狙うだましあいバトルが快作でした。
したたかだったり、思いやりがなかったりする強いキャラクターがしばしば女性なのも良かった。でもたまに女性キャラの書きかたにひっかかるところもありまして。
https://www.kadokawa.co.jp/product/322011000437/
キャラ造型の引っかかりの件
※細かいところです。
1. メイン人物が派手な格好の女子高生なのはともかく、2話目で下着(ブラジャー)がシャツから透けていると2回も書かれているのは、周りの女性の家族や友達が強く止めるので実際はなかなか起こり得ないのではと思いました。
極度に無頓着だったり、自分の状態に気づけない人なら実際に起こることですが、単に我が道を行くキャラの表現としてはいまいちじゃないでしょうか。
2. もうひとつは3話目。一人称オレでスラックスをはいている女性キャラがかき氷屋の常連になっている理由が「空いているし店長が美人なんだよ」。店長の性別は書かれていません。また確かに、マスキュリンな形質を選択した人が男性の悪ノリな言動を模倣してしまうケースはあります。
ただ「女好きの女性キャラ」の悪しきステレオタイプを再生産しかねないので、せめて作中で誰かにたしなめられるとかしてほしかったです。