ユーゴスラヴィア生まれのクロアチア語作家の遺作で、オートフィクション(作者が作者として語る小説)です。批評的エッセイとして読めます。
ウグレシッチはロシアン・アヴァンギャルドの研究者で、代表的作家ボリス・ピリニャークでかつて修士論文を書きました。ピリニャークは『われら』で知られるザミャーチンの親友で、20世紀初頭に2回も来日したせいでスパイとして銃殺されたそうです。
そのピリニャークの小品には、日本人男性タガキと結婚したロシア人女性ソフィアが、ロシア語話者を介し、自分が彼にずっと克明に小説の中で描写されていたと知ってしまい、一人帰国するという話があるそうですが……。