SFマガジン2023年10月号、若島正先生の連載がサミュエル・R・ディレイニー回で、私の長年の疑問がひとつ解消されたのでした。小説の内容ではなく、作家本人の話なのでご興味のない方もいるとは思いますが。
ディレイニーは、シオドア・スタージョン作品におけるセクシュアリティや多種族の描写に心動かされてSFの人になったのですが、ところでディレイニーはインタビューでスタージョンは「バイセクシュアル」だと言っています。しかし私は長年、他にスタージョンがバイであるという記述を見つけることができませんでした。ということは直接、本人から聞いたとしか考えられません。
若島先生による2023年7月にニューヨーク・タイムズに掲載された記事の紹介で、結果的にこの真相が明らかになっていました。

NYTの記事によれば、ディレイニーは、ある日スタージョンとランチに行く途中に“propositioned”(性的な意味で誘われた)そうなんですね。
ディレイニー本人は笑って、シェイクスピアに誘われたようなものだとか、もしモーテルが見つかっていたら寝てたかもと語っていますが、現代の倫理観からするとちょっと笑えません(※1, 2)

※1. ディレイニー先生、大昔の逸話とはいえ、亡きスタージョンの性的指向を勝手にしゃべるのはよくないです。あとバイとは言いきれないですよね。
※2. スタージョン先生、年の差24歳で自分にあこがれているシュッとした若手作家と気軽に寝ようとしないで……。

くだんの記事“How Samuel R. Delany Reimagined Sci-Fi, Sex, and the City”
newyorker.com/magazine/2023/07

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-人間なんぞ常に正しいアニマルではないし、マッチングアプリ存在以前の世界では、言外の態度その他で「これはいけるかも」を察知しないと機会がつかめなかったわけではあります。しかし2023年においては「※真似しないでください」というキャプションが必要。
-スタージョンは前から私にとって色々な点で共感可能である貴重な作家で、共感が更に高まりはしましたが。

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