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ヒューゴー賞ノヴェレット部門をまた一篇読みました。
きわめて直球に、クソな職場でストライキや反乱をやる話でした。
主人公ジュリアは金星の浮遊都市のドームを日々修繕する危険な肉体労働に愛着と誇りを持っていた。だが母親は、現役時代はこの都市の建造に貢献した大物で、ジュリアがこの仕事を続けることに反対していた。そして修理人の労働環境はどんどん悪化していく……。

読みやすく、市民のデモ協力や母親との和解で終わる、希望のある結末です。意外とストレートなハッピーエンドで驚きました。
さほど金星らしさは描かれず、また、ドーム都市を人力でメンテナンスする理屈がさらっとしか語られないため、ちょっと昔のSFっぽい感覚を受けます。
clarkesworldmagazine.com/vibbe

ちなみに本作はヒューゴー賞、ネビュラ賞、昨年創設されたばかりのユートピア賞(希望のある結末の、気候や環境や社会問題の解決策に焦点を当てた、気候変動小説、SF、ファンタジーが対象)の3賞にノミネートしています。

個人的には市民や母親の理解をすんなり得られたのを肩透かしに感じてしまいましたが、でも大団円に終わる良い話が歓迎されるのもわかります。近年なかなかなかったですしね。

@biotit ドーム都市とか危険な修繕をする肉体労働者とかさわりの設定は「デカダンス」に似てるかも

decadence-anime.com/

@gnue 労働者の抵抗、ディストピアもののテーマのひとつですもんね。
ただ、紹介した作品の場合は、やけっぱちではなく、職を失ったり逮捕される恐怖を感じつつストライキに臨んでいるのが特徴だと思います。母親は多額の年金がもらえているが、自分にはそういうアテがないと不安を感じたりもします。こういう点がリアルで、共感を生んだのが人気の理由かもしれません。

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