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ヒロミ・ゴトー著/文、アン・ズー画『塩とコインと元カノと シャドウライフ』 (ニキ リンコ訳、生活書院)を読みました。カナダのグラフィックノベルで、ファンタジー要素があります。
著者ゴトーは日系カナダ人作家で、過去にティプトリー・ジュニア賞(現アザーワイズ賞)やサンバースト賞(カナダのSFF賞)を受賞しています。

娘たちにケアホームに入れられた76歳の日系カナダ人クミコは、脱走してこっそり独居生活を送ります。死の影に襲撃されますが逃げ回り続け……。
おそらく日本の読者の一部には、身勝手で周囲に迷惑をかける主人公に好感を持てない人もいるでしょう。
本書は、いくつになっても主体性を持つこと、メチャクチャ往生際が悪いことの自由が、尊重されている物語なのです。
hanmoto.com/bd/isbn/9784865001

クミコは口が悪いし、年相応に健康を維持できておらず高血圧で太っている。ヒーローやヒロインではありません。
でも、まだ生きていたいし自由でありたいと望みます。どんな個人でも好きに生きていいじゃないかというエールのように感じました。公営プールや公立図書館といった公共の福祉が彼女の助けになる描写もさりげない。
クミコは、大昔の元彼女の家に転がり込みもします。それぞれ夫や妻を亡くした元恋人たちの、もはや性愛ではなさそうですが親しみある関係が描かれるのも良かったです。

ありがとうございます、たいへん励みになります(訳しただけであって創作に関わっていないとはいえ)

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