サラ・ピンスカー『いずれすべては海の中に』(市田泉訳、竹書房文庫)はいいぞ情報が流れてきたので、私も感想を流しておきます。印象に残ったのは以下の点です。
1. 喪失感。幻肢痛、あるいは人生の道筋の車線変更不可能性なんかを連想する。
2. 女性の描写。とくに中高年女性の細やかな描写について。更に言えば、とくに女性を愛する女性の描写について。

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書きかけて完成しなかった感想です。
「本国では作家ケリー・リンクとその夫ギャヴィン・J・グラントが主催する小出版社スモール・ビア・プレスから出版された本だ。本書には高水準の、バラエティに富んだ短編小説ばかりが収められている。並び順も良い。
著者サラ・ピンスカー(1977-)の魅力は血の通った登場人物、情感、クラシックなSF短編の魅力、時代性、音楽愛、その他いろいろだ。
作家を例えるのに別の作家を持ち出すのは野暮だが、あえてやるなら、レイ・ブラッドベリやケリー・リンクの風格すら感じる。その印象は、この二者がいかなるジャンルを書いても作家としての個性を発揮することと、なつかしく奇妙な子供時代を書く名手であることとも関わっているだろう。この先、ピンスカーがアメリカ文学の偉人ポジションを継承する可能性は充分にある。
ただしピンスカーの場合は、旅したりさすらったりする話が多い点、光景や品物より人間の描写に焦点が当たっている点が特徴的だ。より人間の生活感が生々しい。」

サラ・ピンスカー『いずれすべては海の中に』には具体的にどんな短編が入ってるのかって?
サイバー義手がつけた男が、自分の腕がコロラド州のハイウェイであるという感覚がぬぐえない件。
おばあちゃんが亡くなったら、お父さんが機械のおばあちゃんを連れてきた件。
宇宙移民船で子供に歴史を教える教師役を務める主人公が、かつて起こった文化データ消失事件と歴史の意義に頭を悩ます件。
一年のうちのある一日だけ〈ベール〉が上がり、帰還兵たちが失った記憶を取り戻す件。
等々です。

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