【2024年観た映画・3】地獄の黙示録 特別完全版
言葉も分からない遠い国で、個人レベルでは命をかけるような大義も見当たらない戦争に身を投じるのは、どんな気持ちだろう。
3時間22分。さすがに長すぎる。前半の狂ったサーフィン、バニーの慰問公演のシーンはやっぱり素晴らしい。中盤少しダラける気がするし、川を遡行する途中でフランス部隊に遭遇するシーンは必要性がよく分からなかった。ただ、CGもない時代に、莫大な予算をかけているとはいえこんな映画を撮った労力を思うと、ストーリーテリングに緻密さを求める気にはなれない。
この特別完全版に収録されている、フランス人コロニーの農園にたどり着くシーン。これはベトナム戦争のリアリティとしては疑問もあるけれど、アメリカ人が世界中で繰り広げる戦争の一側面を考えさせる良いシーンだと思う。当初の劇場公開版になぜ入れなかったんだろう?
ラストに響く、カーツの末期の言葉。”horror, the horror”と言っているのに、字幕は「地獄」とするのはいただけない。邦題に合わせてきれいにまとめようとしたのかもしれないが、主題を大きくミスリードしているのでは?
コンラッドの「闇の奥」近いうちに読んでみたい。