ミレニアムをオーディブルで聴いたんですわ 

ミレニアム、ようやくオーディブルでようやくスティーグ・ラーソン執筆分を聴き終えた!
とにかくずっと重苦しい場面が続くんだけど、ほかの作家ならさっくり後日談としてまとめそうなシーンを詳細に描いてくれるのでカタルシスがすごい。

特に「眠る女と凶卓の騎士」は終盤の裁判シーンの爽快感が最高だった。シリーズでずーっと今までねちねちねちねちしてきた連中が、弁護士にバッサリやられるのがよすぎてよすぎて。
ミレニアムシリーズがくせになってしまうのって、前半から中盤にかけての「敵はめちゃくちゃ強大だし頭もいい、しかもいっぱいいる、さすがに今回はリスベットもきついのでは!?」からの「まあこんなもん圧勝ですわ」への大転換があるからなんだよな〜!

三巻は一、二巻で出された問題に一応の決着がつくので、ここで完結とされても全然いいな、と思ってる。

六巻完結で、四巻以降は別の作家が書いているということなんだけど、故人の遺稿を持っているのとは別の人なので、四~六巻の展開が果たしてラーソンが考えていたのとどれくらい同じで違うのかが気になってしまう…。

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ミレニアムをオーディブルで聴いたんですわ 

ラーソン作の三巻分のファンも納得絶賛!の出来栄えらしいけど、パートナーだった人と遺産を相続した親族の間に問題があるようだし、どうせなら遺稿をもとにした四巻を読みたいのでとりあえずオーディブルで続きを聴くのは保留にします。

ネットで読んだ記事で「アメリカミステリは会話がかっこよくてイギリスは謎解きがお家芸、北欧は社会問題を扱う」みたいなのを読みまして、私が知ってる北欧ミステリって特捜部 Q(デンマーク)
とミレニアム(スウェーデン)だけだな…と思ったものの、確かにその二作は社会問題をかなり正面きって扱ってるなあと納得もしました。しかしアメリカミステリ、会話の格好良さってあんまりミステリとしての楽しさに関係なくない?大丈夫?

さておき、ミレニアムの感想に行きます。スウェーデンで 2005 年発行、二十年前の作品です。特捜部Qは2007年発行だそうで、こんなに時期が近いんですね。と言いつつQのカール・マークはミレニアムのミカエル・ブルムクヴィストよりだいぶ頭が固い。これは土地の違いなのか、それとも主人公の職業の違いなのかが気になるところ。

ミレニアムをオーディブルで聴いたんですわ 

ちなみに私が好きなワシントン・ポーのシリーズは2018年発行とかなり新しいため、同じ事でもカールとポーは女性への対応がびっくりするくらい違います。そして、相棒である「高IQで社会性が低い女性」への態度も、ポーとミカエルでかなり違う。

この違いはミカエルとポーの気質もあるんだろうけど、「作家がどういう性質のキャラクター同士をコンビとして設定するか」に社会の変化は絶対にあるはずで、ラーソンが存命で今リスベット・サランデルとバディを組むキャラを作るとしたらどうなっていたのか、あるいはリスベットがどういう変化を遂げていたのかを知りたかったなあと思います。

3部聴き通してまず感じたのが、「すごい、政治と法律をここまではっきり批判するんだ…」でした。
リスベットを「無能力者」として設定したのはもちろん物語上の要請ではあったんでしょうけど、制度の持つ欠点、法律に存在する不備、人権侵害について等々の指摘が随所にあり、これは日本のミステリ作家からは逆立ちしたって出てこないんじゃないの?と感じました。

ミレニアムをオーディブルで聴いたんですわ 

そういえば特捜部Qも政治批判はものすごくストレートにやってるもんな、「あんな決定をしたあの大臣はバカ」みたいなモノローグが所に出てくる。
日本の警察ものだと「いやな上司」「嫌味な官僚」が制度の代弁者として主人公の前に立ちはだかったりしますけど、そもそも制度そのものがおかしいじゃん、という指摘をするキャラっていたかなあ…。(そして賞賛されるのは法律の抜け穴をくぐるすべを知っているキャラで、正面から法や政治を批判するキャラはいない)
「こんなのおかしい!自分が出世して変えてやる!」ってキャラは見たことあるけど、そういうキャラが指摘するのは制度の不備であって、不備を生み出す思想ではない、みたいな…。

北欧っぽさをもうひとつ感じたのは、性へのオープンさ。ミカエルは島耕作のごとく女にモテる…一応これはちゃんと物語のテーマと関係があり、ミソジニー由来の攻撃をしない、自分より優れた資質を持つ女性に嫉妬や攻撃をしないからミカエルはモテているんだ、という設定になってる。なってるけどそのモテはいるのか。いるのか?わからん…幸い詳細な描写がないからスルーは可能だけど…

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