「犠牲の上に平和がある」というのが欺瞞なんですよね。殺されたり、殺されなかったとしてもその後の人生が変わってしまったので…。
生前、父方の祖母とはマジで仲が悪く、結果的に遺産で揉めたため父の三男と父(長男)/次男が絶縁したという亀裂を作った要因だとは思って入るんですが、入院中に「東京に帰りたい…」
「帰らさせてくれよ…」
と何度も言っていたのを聞いてしまったんですよ。
それは、東京にあった実家が、空襲で焼けてしまって、歩いて神奈川の方まで疎開したからせめて最後は東京に…というのを知っていたんですよ。でも、それはできようがない。
だって、もう家無いんだもん。燃えたし。なので、当時は「大丈夫だよ」とひたすらウソをついていました。
悲しいよね。
確かに割りとイラチであったし、ひでえことを言う人だったし、ひどいことを何度も言われたが、という感じですし、結局生きている間に和解をすることはなく亡くなってしまったのが心残りです。
そんな祖母は、戦争によって人生が破壊された当事者でもあったのだな、と今となっては思うのです。