マルコムXの発言は表現豊かで明快なんだけど激しさゆえに誤読される可能性を持つものだから、自伝もそうだしいろんな場所での発言や研究者の成果なども参照しないとなかなか真意が読めないという深淵さがある。
撮影で使ったフィルムは特殊でとか、感度がねとか、サイズがとか、そんな情報を得ても観るときにはデジタルで観るわけだからなんかこうね。いや本当はそれで十分なことなんだけど、やっぱり上映用フィルムに焼き付けられた象を観ているのだという気分も相当大切じゃないかしら。
『ウーマン・トーキング』についての文章の下書きを書いていて、なんか進めば進むだけあれもこれもってとっ散らかってきて、あれわたしめっちゃ好きなんじゃんこの映画って思ったらまた好きになった。
Twitterから追い出された。
森田芳光監督『それから』を鑑賞。
わりと小説の通りでそのまま引いているセリフも多くみられるけれど、これは言葉遣いそのものが重要な要素であると考えた結果なんだろうなと。
松田優作のキャスティングの勝利ぶり。代助と世の中との距離感ひとつとっても表情とか声のトーンなどで完全に捉えられているし、姪や嫂に見せる崩した顔など完璧だと思う。
藤谷美和子の三千代もすごく好き。信じられないくらいの美しさよ。三千代の虐げられ方やその具合が小説よりも強調されていて、かなりムカつくものではあるがより説得力が出ていると思うのと、三千代という人物の腹の座り方とか強さとか意志が明らかにこの映画からの方がより伝わってくる。そしてこの映画版のラストの三千代の見せ方は次作の『門』により接続しやすくなる解釈が可能だとも思った。
ハイライトシーンの長回しとかモンタージュとか原作の路面電車小説というジャンルの部分の視覚化など、とにかく画面の作り方や緩急など素晴らしいと思った。
あさり/ザ・グレーテスト