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サラ・アーメッド(2022)藤高和輝訳「ハンマーの共鳴性」『現代思想』50(5)、90-106頁から、いまの自分に必要な部分を引用……。

 あなたの存在が反証の対象であるとき、生存は大変なプロジェクトになる。絶えずあなたの存在を削りとっていくシステムを、あなたは生き延びる必要があるのである。そのように存在を削りとることに携わっているフェミニズムはその名に値するものではない。
 他者の実存を削ることは私たちもまたやってしまう可能性のあるものだ。トランスフェミニズムは一種のダイバーシティ・ワークである。私は On Being Included: Racism and Diversity in Institutional Life (引用註:原文ではイタリック)(2012) で、このダイバーシティ・ワークを二つの意味で論じた。それは、制度を変換させること(しばしば、歴史的に排除されてきた人たちにその制度を拡張することによって)を目指すときに私たちが行う仕事であり、制度の規範のなかで息ができないときに私たちが行う仕事である。これら二つの意味は身体において交わる。制度の規範のなかでまったく息ができない人たちはしばしば、これらの規範を変換するタスクを負わされる人たちである。私たちはジェンダー規範を制度として考えることができる。私たちはジェンダー規範を、私たちがそこに住まう場所として考えることができる。

ある人たちは他の人たちよりもより居心地が良い状態にある。そして、ある人たちは、他者が居心地が良いと感じるその仕方によって追い出される。私たちがジェンダーの取り締まりについて語るとき、私たちは壁について語っている。つまり、いくつかの人たちが敷居を跨ぎ、通過することを妨げられる様々なやり口について、私たちは語っているのだ。(106頁)

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