ホラーが流行りみたいですので
大阪はミナミのとある雑居ビル、私はそこの3階に用があった。
ボロボロのエレベータに乗り、3階のボタンを押す。
何となく上の、今何階の表示を見上げる
(ここ4階までなのか…)
と思っているうちに3階についた。
用事は15分程度で終わり、またエレベータに乗り込む。
ただ、それは登りだったらしく、
一度4階に連れて行かれてしまった。
ドアが開くとそこはワンフロアぶち抜きで、リノリウムの床が静かに拡がり、配管の見える天井が無機質に佇み、そこら辺の隅には埃がたまっていて、窓から入ってくる太陽光は浮遊している埃をキラキラと乱反射している。
(テナント入る前か、降りてみたいな……。)
そう思ったがドアはすぐ閉まってしまった。
別に再度開ボタンを押してまで降りたくもなく、素直に一階に降りた。
壁に貼ってあるビルのテナント一覧を何となしに見ると、
4階 ○○司法書士事務所 (有)○○
と二つのテナント名が書かれている。
(つぶれても書きっぱなし?)
と思って外に出たが、確かに4階の窓には○○司法書士事務所と書いてあった。
春の初めの昼下がり、ぶち抜きの4階は本当に4階だったのか……。
気温と関係なく背中には汗が吹き出た……
ミステリー小説愛好家。
群像劇、グランドホテル方式のような多人数視点が好物。どんでん返しも好き。
短歌が好きで自らも詠みます。
suiuで短歌を投稿してます。
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