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まさに『今』読むべき本というかんじだった
“「メディアというのは本来、危険なものだ。国の将来を左右するような大きな出来事であっても、メディアがどこも小さく扱えば、誰もが取るに足りない些細なことだと感じる。一切報道しなければ、その事実さえ存在しなかったことにできる。逆につまらないことでも連日大きく扱えば、たちまち日本中がその話題で持ちきりになる」
「民主主義は感情統治って、誰かが言ってましたね」
「別に今に始まったことじゃない。七十年以上前、日本は米国のメディアを調査して新聞の報道よりも写真の効果が絶大だと分析して、その威力をこう評している。『大衆の理性の力よりも、むしろその興奮に訴えると言う事にある、しかして戦争の母胎となるのは、理性ではなくして、実に大衆の興奮なのである』」”
太田愛 著『天上の葦』より
ここらへん、新型コロナ対策に置き換えても話が通じるのでめちゃくちゃ怖かった。
“国は新聞、雑誌、官報、全てを動員して国民を騙している。空襲は怖くない、焼夷弾は消せる、突撃して消火せよ。そうしてキヌさんのように大勢の人がそれを信じている。
しかも実際に焼夷弾が雨あられのように降ってきた時には、逃げ場がないんだ。公共の防空壕は物資不足でほとんどが素掘りの簡易なものばかりだ。焼夷弾の絨毯爆撃には用をなさない。
国が推奨している家庭の防空壕にしても、あんな床下に穴を掘っただけのものでは、むしろ焼け落ちた家の下敷きになって死ぬのがおちだ。今ある防空壕はもともと国民の命を守るものじゃない。これが防空壕に対する国の見解だ」”
太田愛 著『天上の葦』より